毎日何時間、睡眠をとっていますか?
必要な睡眠時間は、個人差がありますが、健康な人でも、加齢によって徐々に短縮し、早寝早起きの朝型化の傾向が(特に男性)あると言われています
65歳以上になると、6時間程度になってきます
また、睡眠のパターンも加齢により変化するため、成人に比べて深い睡眠の割合が減少し、浅い睡眠の割合が増加してしまいます
これにより夜中に目が覚めたり(中途覚醒)、全睡眠時間の短縮や睡眠効率の悪化を招きます
高齢者は全般的な睡眠の質の低下や、身体活動・基礎代謝量の減少、うつ病やせん妄、夜間頻尿や泌尿器疾患、掻痒感を伴う皮膚疾患、不眠の原因薬剤の服用が原因となり、不眠を訴える頻度が高くなります
睡眠障害の種類として、3つ挙げられます
①入眠障害
寝つきが悪い状態です
布団にはいってから30分〜1時間以上寝付けないことがあります
しかし1度寝ることができれば、朝までしっかり眠ることができます
②浅眠・熟眠障害(中途覚醒)
眠りが浅く、何度も目が覚めてしまいます
また、十分な睡眠時間を確保したのに眠気が残り、熟眠感が得られない状態です
高齢者に多く、夜間トイレに行く回数が増えるのは、眠りの深さにも関係していると言われています
③早朝覚醒
起床時間よりも朝早くに目が覚めてしまい、再入眠ができない状態です
高齢者や躁病の方に多いです
不眠症治療は、加齢による生理的変化の不眠を除き、原因に応じて対処していきます
しかし、明らかな原因が見当たらない場合は薬物療法を開始します
睡眠薬は、ベンゾジアゼピン受容体作動薬がよく使用されます
高齢者は、この感受性が高まり、代謝・排泄の遅延により副作用が現れやすく、認知機能の低下や転倒、日中のだるけ、せん妄等のリスクも出現するので、注意が必要です
<睡眠薬の種類>
超短時間型:作用時間が短く、翌朝の覚醒時、目覚めが良い
・ハルシオン(トリアゾラム)
・アモバン(ゾピクール)
・マイスリー
・ルネスタ
副作用・・・口渇、倦怠感、一過性の記憶障害 などがあるため、長時間投与せず、減量しながら適量を判断していく
短時間型:長短時間型より、作用時間が若干長く、翌朝の覚醒時には効果がなくなることが多い
・レンドルミン
・エバミール
・リスミー
・ロラメット
副作用・・・口渇、倦怠感、頭痛、一過性の記憶障害 などがあるため、使用する場合は必要最低限の量で、できるだけ短期間の使用とする
間型・長時間型:薬の効果が長く、翌朝の覚醒時にも残っていることがある
・サイレース
・エリミン
・ユーロジン
・ネルボン
副作用・・・頭重感、ふらつき、倦怠感、口渇 などがあるため、最低限の量の使用にとどめ、慎重に使用する
睡眠薬は、副作用を恐れたり、癖になるからと使用を避けることも多いと思います
しかし、適正な使用で安眠を得ることができます
自己判断で増量や減量をすると、命に関わることもありますので、必ず医師・薬剤師と相談しながら使用してください
また、厚生労働省・精神神経疾患研究委託費「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」の研究報告書にある、睡眠障害対処12の指針にある対処方法も効果的です
睡眠に対して困っていることがある方は、かかりつけ医に相談し、毎日の生活をより良いものになるようにしていきましょう
ステロイドの軟膏やクリームを使用する際、どれくらいの量を使っていますか?
軟膏・クリームの場合、最近では、1FTU(ワンフィンガーチップユニット)と呼ばれる目安があります
これは、人差し指の先端から第一関節までの長さを、チューブから絞り出した量(0.5g)です
1FTU=0.5g
これは、大人の手のひら2枚分の面積に塗る量に相当します
ローションの場合は、1FTU=0.5g=1円玉ほどの大きさとなります
少し多いなと感じるかもしれませんが、軟膏やクリームはたっぷり塗ることでその薬の効果を得ることができます
塗る量が少ないと十分な効果を得ることができず、治療が長期間になってしまうこともあります
軟膏とクリームはどのように違うのでしょうか?
軟膏は、水分が含まれておらず、じゅくじゅく・さらさらしている部位に使用します
皮膚への刺激性が弱く、症状に対する適用範囲が広いのが特徴です
しかし、ベタベタして洗い流しにくく、皮膚への透過性が弱いことが欠点として挙げられます
クリームは、水分が含まれており、油と綺麗に混ざっています
軟膏に比べて塗りやすく、さらさらの部位に適しています
水やお湯で洗い流しやすく、皮膚への透過性も強いです
冷却効果により消炎・止疹作用があります
しかし防腐剤が添加されていることが多いため、皮膚への刺激性が強いのが欠点です
ステロイドは、使用部位や症状、薬の強さによって塗り方が異なるため、医師・薬剤師の説明をしっかり聞き、適切に塗布していきましょう
ステロイドの正しい塗り方は、
①塗る前にしっかり手を洗い、水分を拭き取ります
②指に薬を適量絞り出します
③患部に薬を少しずつ、いくつかに分けて乗せます
④薬を指の腹でまんべんなく伸ばします
擦らないよう注意しましょう
⑤患部以外にステロイドがつくのを防ぐため、しっかり手を洗いましょう
薬を塗布する際は、すり込まず、優しく伸ばして塗りましょう
軟膏やクリームは、冬になり気温や室温が下がると、固くなって塗りづらくなることがあります
硬いまま使用すると、塗りにくいだけでなく、皮膚にダメージを与えたり痒みの原因となります
塗る前に手のひらや手の甲にとって、少し温めてから塗りましょう
体内での鉄の働きを知っていますか?
私たちの体内には、3~5gの鉄が存在し、大部分がヘモグロビンとして赤血球中に含まれています
赤血球の寿命は120日で、毎日赤血球の1/120が破壊され、その分骨髄と呼ばれる血液を作る組織で新しい赤血球を作っています
私たちの体から、胃や腸などの消化管や汗や皮膚細胞に含まれる鉄が1日に2〜3mg程度失われていますが、普通に食事が取れている場合は、おおよそ1〜2mg/日程度の鉄分が十二指腸から吸収されて体内に補充されます
よって鉄が不足することはありません
ではなぜ貧血が起きるのでしょうか?
今回は鉄欠乏性貧血についてお話ししていきます
原因は、大きく3つに分けられます
①鉄分の需要増加
思春期や妊娠女性は特にこれに当てはまります
月経過多の状態にあると、出血量が通常の月経よりも増えるため、鉄分が不足します
妊娠中は、胎児と胎盤の発育に通常の5〜6倍の鉄分が必要となるため、鉄不足を引き起こします
②鉄供給の低下
鉄の吸収不足や吸収不良が挙げられます
食事から鉄分を摂取しても、胃や腸の病気があるとうまく吸収してくれません
胃炎やヘリコバクターピロリ菌の感染、胃の手術、炎症性腸疾患がある場合は鉄分をうまく吸収できず、貧血になるケースが多いです
③鉄の喪失
一時的な怪我による出血だけでは、貧血にはなりません
慢性的な出血として、消化管出血や婦人科疾患などがあります
痔や肛門などからの出血や、胃や腸などの消化器の潰瘍や癌による消化管出血は、出血に自覚症状がないため注意が必要です
症状は、多くは無症状で、健康診断の採血結果で指摘されることが多いです
徐々に、動悸や息切れ、疲労感・倦怠感、顔色不良や味覚障害など、悪化するにつれて強く出現し、日常生活に大きな影響を与えます
ほかにも、イライラ感の出現や爪が荒れたり異食症(氷や粘土などの非食用のものを食べたくなる)が出現したりします
また、重度の場合は輸血が必要になるケースもあるため、症状の出現が見られたらすぐに受診しましょう
主な治療としては、薬物療法が用いられます
内服薬による副作用の出現が激しく出る場合は、注射による治療もありますが、まずは内服療法から始めていきます
・フェロミア
・フェルム
・インクレミン
・フェローグラデュメット
があり、どの薬剤でも効果は変わりませんが、飲み方や錠剤の好みで使い分けていきます
鉄剤を開始すると2〜3週間で改善し、その後ヘモグロビンが上昇していきます
鉄剤を内服する際の注意点として、副作用の出現です
薬中の鉄がいや十二指腸で放出されるため刺激が強く、悪心嘔吐、便秘、下痢などの消化器症状が10〜20%の割合で出現することがあります
これらの消化器症状は1〜2週間程度で改善しますが、症状が強く出現している場合は鉄剤を変更したり、飲む時間を変えたり、減少したりすることで対処できます
必ず主治医や薬剤師へ相談してください
貧血の予防として、食事から鉄分を摂ることも効果的です
内服治療と併用して、食事生活を見直してみましょう
1日に必要な鉄分量は、
女性:18〜64歳 は6.5mg
65歳以上は6.0mgです
男性:18〜74歳 は7.5mg
75歳以上は7.0mgです
特に鉄分が豊富な食材は、豚・鶏レバーや赤貝、めざしやまいわし、かつお・まぐろなどの魚介類、小松菜やほうれん草、えだまめ、ひじきなどの野菜類、プルーンやチョコレートも鉄分が含まれています
動物性のものだけでなく、植物性のものも併用し、バランス良く鉄を摂取しましょう
深部静脈血栓症は、下肢や骨盤内などの深部静脈に血栓が生じた状態のことをいいます
原因として、
・血液凝固の亢進
癌や特定の遺伝性血液凝固障害などの病気では、固まる状況ではない時に血液が凝固してしまいます
特に、経口避妊薬やエストロゲン療法薬など、一部の薬剤は血液凝固を促進してしまいます
・静脈血流のうっ滞
長時間に渡ってベッド場での生活をしている方や、怪我や脳の病気により身体(特に下肢)を動かすことができない場合、ふくらはぎの筋肉が収縮せず、心臓へ血液を送り返せないため血流が遅くなります
また、健康な方でも、長距離ドライブや飛行機旅行などにより、長時間座ったままの姿勢をとっていると血栓症を引き起こします
・静脈壁の障害
腕や脚の手術や怪我、注射や炎症などによってキズがつくことで血栓が生じ、それによって傷がつきます
が挙げられます
深部静脈血栓症は、約半数は無症状です
このような場合には、肺塞栓症による胸の痛みや息切れが血栓の存在を示す初期症状になります
また、足の太い静脈の血流が遮断されると、ふくらはぎがむくみ、痛みや熱感などの症状が現れることがあります
予防法として、体を動かしましょう
旅行中に同一姿勢をとってしまう時は、足を挙上させ、足首を曲げ伸ばしする運動を30分後に10回行いましょう
足首の上下運動をすることで、ふくらはぎの筋肉がポンプとして機能し、静脈の血流を良くしてくれます
足のマッサージや、2時間ごとに歩行やストレッチをするのも効果的です
ベッド上で生活している方には、下肢の運動やマッサージを行い、なるべく離床できるよう関わることが大切です
もし血栓ができた状態で、血流を促進させるような運動をすると、血栓を運んでしまう危険性があります
違和感や異変を感じた際は、医療機関への相談をしましょう
「疥癬」 聞いたことはありますか?
疥癬、はダニの一種である「ヒゼンダニ」がヒトの皮膚に寄生しておこる皮膚の病気で、腹部、胸部、大腿内側などに激しいかゆみを伴う感染症です
直接的に肌から肌、また、衣類やリネン類を介して間接的にヒトからヒトへ感染します
疥癬には、通常疥癬と角化型疥癬の2つのタイプがあります
通常疥癬で寄生するヒゼンダニの数は数十匹以下ですが、
角化型疥癬では100万~200万匹であり、その感染力に大きな違いがあります
■通常疥癬
長い時間、肌と肌、手と手が直接触れることで、ダニが移動して感染します
少しの時間ではほとんど感染しません
まれに、患者さんが使用した寝具や衣類などを交換せずにすぐ他の人が使用することで感染することもあります
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は1~2か月です
■角化型疥癬(ノルウェー疥癬とも呼ばれることもあります)
ダニが多く、感染力が強いため、短時間の接触、衣類や寝具を介した間接的な接触などでも感染します
また、剥がれ落ちた角質にも多数の生きているダニが含まれていて、それが付着することでも感染します
角化型疥癬の患者さんから感染する場合、4~5日後に発症することもあります
なお、角化型疥癬患者から感染した場合でも、まずは、通常疥癬として発症します
感染経路は以下の通りです
通常疥癬からの感染
=直接経路=
長時間、直接肌と肌が接触することによって感染します
短い時間触れるぐらいなら感染の心配はありません
=間接経路=
まれに通常疥癬の患者さんが使用した寝具(布団やベッド、シーツ)などを替えずに、すぐに他の人が使用することによって感染することもあります
角化型疥癬からの感染
=直接経路=
短時間の接触で感染します。
=間接経路=
衣類や寝具を介して感染します
角化型疥癬では角層内に多数のダニを含んでおり、皮膚から剥がれ落ちた角層に接触するだけでも感染します
特に夜になるとかゆみが強くなり、不眠になることもあります
ただし、ご高齢の方はかゆみの訴えが少ない場合があります。
疥癬特有な線状の皮疹(ひしん)です
手首や手のひら、指の間、指の側面、アキレス腱などに多くみられます
ヒゼンダニの抜け殻や糞(ふん)に対するアレルギー反応です
胸やお腹、腕、太ももなどに赤い小さな丘疹(きゅうしん)がみられ、激しいかゆみを伴います
男性は外陰部に結節(けっせつ)と呼ばれる数mmのしこりがみられることもあります
角化型疥癬の特徴的な症状です
手足やおしり、ひじ、ひざなどに、灰色~黄白色でざらざらの厚いあか(角質)がカキ殻のようにつきます
症状は爪にみられることもあります
また、かゆみは人によって異なり、かゆみがない場合もあります
疥癬になりやすい人
など免疫機能が低下している人にヒゼンダニが寄生することで発症します
また不潔な状態が長く続いていたり、健康でも家族に疥癬感染症がいると感染のリスクが高くなります
疥癬の感染を予防するには
まずは、似ている皮膚病もあるため必ず皮膚科を受診して診断を受けましょう
手洗いをしっかり行いましょう
感染した方を個室に隔離し、寝具ごと移動し拡大を防ぎましょう
使用した寝具・タオルは毎日洗浄、乾燥機(50℃10分間の熱で死滅)にかける、また天日干しにしてから使用してください
大型の乾燥機であれば20~30分処理すれば、全てのダニを殺すことが可能です
洗濯物運搬時はすぐにビニール袋に入れるなど皮膚垢が飛び散らないようにしましょう
居室の掃除機は毎日かけてください
入浴は家族の中で一番最後にし、風呂掃除は壁・床も忘れず洗いましょう
角化型疥癬の場合は手袋や予防着を着てください
在宅で暮らす高齢者は、発見が遅くなるケースも多いです
すぐに異常に気づけるよう、アップのスタッフは利用者様の肌を観察しながらケアにあたっています
特に入浴介助や手浴・足浴といった、相手の肌に触れるケアの際は、しっかり観察することができます
おむつ交換時でも、前回と比べて皮膚の状態に変化があれば、主治医へ報告し診察依頼をすることもあります
高齢の方は、褥瘡やあせも、疥癬、カビによる汚染など、皮膚の病気になりやすいため、観察を怠ることないよう関わっています
特に夏場は、あせもと疥癬の区別がつきづらく、見落としてしまうこともあります
また、疥癬は、同居している家族様にも感染する可能性が高いです
ご自身や同居家族様に、少しでも異変を感じたら、医療機関へ相談してください
適切な治療を受けることで、早期治癒に繋がります!
人間は、健康な時は無意識に平衡を保って安楽な姿勢を取っています
しかし、麻痺があったり、長期間にわたる臥床のために自分の力では安楽な姿勢を保持することができない患者などは、筋や関節に負担がかかり、腰背部痛や関節障害、褥瘡などが発生しがちです
そこで、適切なタイミングで体位を変換する必要が生じてきます
その際には、変換後、患者にとって安楽な体位を保持することが大切になってきます
安楽な体位を保持する際にチェックしたい項目には、次のようなものがあります
①脊椎の生理的弯曲が保持されているか
②筋の緊張はないか
③関節に負担がかかっていないか
④患者に疲労感がないか
⑤支持基底面が広く、物理的に安定しているか
⑥局部的に圧迫が加わっていないか
アップのナースも、利用者様の体の状態に合わせ、安楽な姿勢が取れるようポジショニングを心がけています
また、寝たきりの利用者様は、同一体位をとる時間が長くなりやすく、座位で過ごす方より褥瘡などの皮膚障害が生じやすいです
その為、エアマットやギャッジアップのベッドなどの介護用具を使用し、安楽な姿勢が取れるようケアしています
さまざまなケースでの姿勢保持があるため、一部紹介していきます
★日中、呼吸をしやすくする為に、背もたれ30度、枕使用し、頭部20度のギャッジアップ姿勢をとる
→内臓のよる横隔膜への圧迫がなくなり、呼吸がしやすくなります
また、睡眠中の呼吸を楽にするためには、背もたれ10度、枕の使用で頭部10度にすることで、いびきの改善にも繋がります
★リラックスできるよう、背もたれ30度、枕を使用し頭部20度、足元20度のギャッジアップ姿勢をとる
→足もギャッジアップすることで太ももの筋肉の緊張が緩和されます
★下肢のむくみを改善させるため、足元30度のギャッジアップ姿勢をとる
→重力の関係から、水分は下肢にたまりやすいため、心臓の位置より低く、枕と同じぐらいの高さにします
★介護度が低い時の食事や口腔ケアの際、背もたれ30度、枕の使用で頭部30度、足元30度のギャッジアップ姿勢
→頭を起こし、顎を引いた姿勢にすることで誤嚥を予防します
また、寝たきりの利用者様の中には、傾眠状態にある方が多いため、しっかり姿勢を起こして生活の中でのめりはりをつけています
褥瘡リスクがあり、背部を上げられない場合は、背もたれ16度、枕の使用にて頭部16度、足元16度にすることで、臀部への圧力を減らしながら、誤嚥しづらい姿勢をキープすることができます
このように、寝たきりの状態でも、ギャッジアップや枕の使用にて角度を変えることで、より安楽に生活することができます
行うケアの内容に合わせて角度を調整し、ケアを受けている最中も体に負担のないよう配慮しています
さまざまな介護用具がありますので、お悩みの方はぜひご相談ください!
8020運動とは
80歳になっても、自分の歯を20本以上保とう
という歯の運動のことです
厚生省と日本歯科医師会の呼びかけで、1989年から始まりました
30年余りがたち、2016年度における調査では2人1人が8020となり、当初の目標である50%を達成することができました
平均寿命が延びた今、いつまでも健康な人生を送るため、全身の健康と密接な関係にあるお口の健康を守ることが大切です
働き盛りは、仕事や家事など、日々の忙しさからお口のチェックや定期的な歯科検診が減り、葉や歯茎のケアがおろそかになりがちです
その結果、歯肉炎や歯周病が見られるようになります
40代以降になると、歯周病などにより歯を失う人が増えてきます
2019年に行われた国民生活基礎調査では、加齢につれ「歯が痛い」「歯茎がはれている」「出血している」など、自覚症状を持つ人が増えています
特に高齢になると、葉が失われることも影響し、「噛みづらい」と訴える方も急速に増加しています
定期的な歯科検診を受けることで、歯とお口の違和感を最小限に抑えることができます
平均寿命に加えて健康寿命も延びているこの時代、私たちの生命活動は「食事」によって支えられています
些細な変化を見逃し、放置することで歯を失ったり、食べる・噛むなどができなくなります
その結果、栄養不足を引き起こし、身体機能の低下を招きます
違和感を感じた際、すぐに受診しましょう
歯を失う一番の原因は、歯周病です
歯周病は、「世界でもっとも蔓延している感染症」として、ギネスブックにものっています
歯周病は、歯周病菌が増えて起こる病気のことで、歯垢の中の歯周病菌が増え続け、炎症を起こすことで歯を支える組織を破壊していきます
厚生労働省の調査によると、歯周ポケット4mm以上の人の割合は、年齢
が高くなるにつれて増加し、45~54歳の場合で約半数となります
歯周病の初期は、痛みなどの自覚症状がないため、歯周ポケットが深くなってはじめて気づくことが多いです
歯周病が体の様々な病気に影響していることがわかっています
◆糖尿病
歯周病の進行により賛成する炎症性物質が血液中に入ると、インスリンの働きを低下させてしまうため、血糖値が下がりづらくなります
◆心臓疾患
歯周病が動脈硬化を引き起こす要因ともいわれています
心臓の内膜に歯周病菌がつくと、心内膜炎という病気をも引き起こし、命に関わるケースもあります
◆骨粗鬆症
骨密度は低下するため、歯周病によって産生される炎症性物質により、全身の骨の代謝に悪影響を及ぼすと言われています
◆肥満
メタボリックシンドロームの発症が高まると報告があります
◆脳梗塞
歯周病にかかっている人とそうでない人と比較した際に、脳梗塞になりやすいという報告があります
◆認知症
動脈硬化を引き起こす要因として歯周病が影響するといわれており、脳血管性認知症の原因になる可能性があると言われています
◆誤嚥性肺炎
歯周病などの細菌が、食事や唾液と一緒に誤って気管に入ると、肺炎発症のリスクを高めます
噛むこと、噛めることは、健康寿命を育みます
噛む力を保つことは、歯と口のトラブルを防ぐだけでなく、様々な健康効果を生み出し、健康寿命を延ばすことができます
①歯と口の病気を防ぐ
噛むことで唾液が分泌され、口腔内を浄化し虫歯や歯周病を防ぎます
②脳の発達・認知症の予防
口の開閉により脳に酸素や栄養が送られ、脳細胞が活性化します
③発音・表情が良くなる
口の周りの筋肉を使うためハウトン・表情が良くなります
④肥満を防ぐ
よく噛むことで満腹感が得られ、食べ過ぎを防ぎます
⑤胃腸の疲れが少ない
きちんとかまずに飲み込むと、胃腸の負担を招きます
<セルフケアのポイント>
歯垢のたまりやすい場所を知りましょう
・歯と歯の間
・歯と歯茎の境目
・奥歯のかみ合わせ面の溝
フロスと歯間ブラシを使いましょう
歯ブラシの毛先が届きにくい所は、デンタルフロスや歯間ブラシを使って歯垢を除去しましょう
歯磨き粉を選びましょう
殺菌作用のあるものやフッ素配合のもの、歯垢を取り除く効果や歯垢をつきづらくするものなど、様々です
目的やお口の状況に合わせて選択していきましょう
歯医者へいくのは、歯が痛くなってから
という印象を持っている方は多いのではないでしょうか
検診や歯磨き指導など、予防にも力を入れています
かかりつけの歯医者を決め、定期的にチェックを受けることで全身の健康を保持していきましょう!
独居老人の現状
独居老人とは、1人で暮らしている高齢者のことを指します
以前の日本に比べて、現状1人暮らしをしている高齢者の人数は増えています
認知症が進行するリスクや孤独死を引き起こすことなどが考えられ、老後の生活に不安を感じている方も多いと思います
老化のサインとして、物忘れが以前より激しくなったり、道に迷って家の場所がわからくなった、薬の自己管理ができなくなった、などが挙げられます
これら以外にも、暮らしづらさや違和感を感じた場合は、早期に対応することが望ましいです
家族の思いや本人の意向によって、老後の生活をどこで過ごすかを決めていく必要があります
家での生活を望まれる方や、施設に入所希望のある方など、どのような生活を送りたいかを、家族間でしっかり話し合っておきましょう
独居老人問題の中で1番多く取り上げられているのは、「孤独死」です
一人で生活する上で、食事を摂ることを忘れてしまったり、病気の進行に気づけず倒れてしまったりすることもあります
特に夏や冬は、気温の変化に伴い、上手に環境調整ができず倒れてしまうこともあります
独居老人の孤独死を防ぐために、家族以外の方との親しい関係性を作っておくことが効果的です
例えば、地域住民とのコミュニケーションや、親戚等の関わりです
遠方に住んでいる場合や、すぐにかけつけることができない場合、家族の異変に素早く気づいてもらうことが大切です
在宅での生活が困難な場合は、施設を検討することも方法の1つです
説明会や見学などを通して、快適に過ごせるような環境を見つけましょう
現在利用者様の中にも、日中だけ独居状態の方、平日独居の方など、1人で過ごす時間が長い方もいらっしゃいます
なるべく孤独感を感じずに生活できるよう、サービスを毎日入れることもできます
平日ヘルパーを1日に2回利用し、デイサービスやショートステイ、訪問看護なども併用し、生活している方もみえます
各家庭において、在宅療養へのイメージやメリットが異なります
住み慣れた家での生活が快適なものとなるよう、ケアマネに相談してみましょう
呼吸器の病気 と言われると、何が思いつきますか?
以前紹介したコロナや肺炎、インフルエンザなども呼吸器の疾患の1つです
他にも、睡眠時無呼吸症候群や、気管支喘息、気胸やCOPDなどがあり、呼吸器疾患が原因で亡くなるケースも増えてきています
高齢になるにつれて、呼吸器疾患にかかる確率も増えていきます
今回は、呼吸器の疾患にかかった方へ、私たちがどのような看護をしているかをご紹介していきます
まず、観察を行います
看護師は、目と耳と手を使って観察し、アセスメントをしていきます
視診
口元に耳を近づけ、胸の動きを見たり、呼吸の音が聞こえるかなどを確認します
呼吸数・リズムを測定します
1分間静かに観察しますが、呼吸を測っていることを感じ取られないようにします
脈を測っているふりをして測ることもあります
こうすることで、自然な呼吸数・リズムを観察することができます
また、利用者様のお腹あたりに手を置いて、横隔膜の動きから呼吸の深さを調べることもできます
通常の呼吸では、横隔膜や、外肋間筋などの筋肉を用いて行われますが、さまざまな原因で換気量が増している場合や、呼吸筋疲労がみられる場合は、努力呼吸となっている場合があります
首や肩の筋肉まで使って呼吸してしまう努力呼吸は、余分なエネルギーを消費し、効率の悪い呼吸となってしまいます
このような状態の場合は、すぐに主治医へ連絡し、状況に応じて酸素療法を開始することもあります
看護師の目から観察し、状態を把握することで、ご本人様に今必要な看護を見極めることができるため、丁寧に観察をしていく必要があります
打診
指で胸壁を打つことで、音質の情報から疾患に結びつけることもできます
通常は清音であるはずの部位を叩いた時、濁音が生じた場合は、肺炎や無気肺、肺水腫といった疾患になっている可能性があります
鼓音が生じた場合は、気胸が疑われます
また、両手全体で明覚に経て、動きに左右差がないか、腫れや変形がないか、ごろごろするような振動がないかなども確認していきます
聴診
プライバシーに配慮しながら、聴診器を用いて胸の音を聞いていきます
大きめの呼吸をしていただくよう説明し、左右交互に聴診していきます
気管支の閉塞がある場合は、首元付近に聴診器を当てるとボーボー、ヒューヒューなどの異常音が聞こえることもあります
高齢の方で、呼吸器疾患を患っている方には、痰などの分泌物が自己にて排出できず、鼻や口、気道に貯留してしまうことが多くあります
こういった場合は、吸引器を用いて分泌物を除去していきます
肺炎などにより炎症が起きると、痰の産生量が増加してしまいます
そして痰が貯留し続けることで、窒息、無気肺やガス交換障害などの病気も併発し、さらに呼吸状態の悪化を招きます
吸引を行う際には、まずは自己排痰ができるかどうかを確認します
体をやさしく揺らしたりタッピングすることで、溜まっている痰を動かし、排出しやすくします
実際の吸引時は、1回10秒以内とし、十分に痰や分泌物などを除去できない場合は、呼吸状態に合わせて何度か吸引を行います
吸引時は苦痛を伴うこということを念頭に置き、無理なくケアしていきます
ケアの前後に、SPO2を測っておくと、痰がしっかり除去できたかを把握することができます
SPO2の正常値は95〜100%で、90%以下になると呼吸不全となり、生命の危険を及ぼします
このように、呼吸器の疾患がある場合は、観察をしたり、楽な体位が取れるよう体の向きを変えたり、吸引をしたりして、呼吸が安楽になるよう関わっていきます
症状に応じて主治医と密に連絡を取り、状態の悪化を防ぐことができるよう心がけています
在宅で過ごす時間が少しでも安楽なものとなるよう、1回1回の訪問をこれからも大切にしていきます
褥瘡(床ずれ)という言葉を聞いたことはありますか?
褥瘡とは、皮膚の同じ部分へ持続的に圧が加わることで生じる皮膚の病気です
皮膚に栄養がいきわたらず、最終的に壊死し潰瘍が生じてしまいます
寝たきりの方に多く見られますが、認知症や麻痺の方にも起こりやすい病気です
好発部位は、あおむけの状態では、
・後頭部
・肩甲骨部
・脊柱部
・仙骨部
・踵部(かかと)
が挙げられます
横向きでは、
・耳介部(耳)
・肩関節部
・肘関節部
・腸骨部
・大転子部
・膝関節部
・外踝部
が挙げられます
座位では、
・座骨部
・尾骨部
・背部
・肘関節部
が挙げられます
主な発生原因は大きく分けて4つ考えられています
①皮膚への持続的な圧迫
長時間の同じ姿勢の保持や、寝具の重み、窮屈な衣服の着用など
②皮膚への摩擦やずれ
シーツや衣服のしわ、のりの効きすぎ、移動時の摩擦、ベッドをギャッジアップした際や座位をとったときのずりおちなど
③体の不潔や皮膚の湿潤状態
下着やおむつなどによる皮膚の蒸れ、発汗や排泄物による皮膚の汚れなど
④全身状態の低下
栄養不良、血行障害、運動・感覚障害、皮膚や筋肉の退化など
褥瘡のできやすい部位が赤くなっている場合、褥瘡の前触れの可能性があります
人差し指で、赤くなっている部位を軽く3秒ほど押してみてください
白っぽく変化し、離すと再び赤くなるものは、褥瘡ではありません
押しても赤みが消えず、そのままの状態になるものは褥瘡になっていると判断できます
褥瘡ができてしまった場合は、すぐに医療機関へ相談してください
早期発見・早期治療で重症化を防ぐことができます
日々の生活の中で、褥瘡を予防することができるため、いくつかご紹介していきます
体位交換・ポジショニング
好発部位を意識しながら、身体の同じ部位に長時間の圧が加わらないよう、2~3時間に1回からだの向きを変えましょう
もし赤くなっている部位があれば、さらに圧迫されないように注意しましょう
褥瘡予防用部の使用
エアマットやクッション、体圧分散用部を活用すると効果的です
衣服の選択
肌触りが良く、通気性や吸湿性に優れた素材を選択していきましょう
また、衣服やシーツにしわやたるみができている場合は、しっかり引き伸ばしましょう
衣服の縫い目は皮膚の直接当たらないようにするとよいです
摩擦・ずれを軽減させる
ベッド上で体を移動させる際は、滑りやすいスライディングシート等を活用しましょう
身体の清潔保持
排泄物が皮膚についた状態だと、刺激になってしまうため優しくふき取り、清潔を保ちましょう
なるべくオムツ交換の頻度を増やし、入浴や身体拭きなども取り入れて皮膚をきれいにしましょう
栄養バランスの整った食事
エネルギーやタンパク質はもちろん、ビタミンやミネラルなどの豊富な食材も大切です
適度に水分補給をし、しっかり食事をとって体を健康に保ちましょう
現在担当させていただいている利用者様にも、褥瘡処置を行っている方は何名かいらっしゃいます
今ある褥瘡が早く治るよう日々処置の内容を見直したり、悪化を防ぎ、他の部位の褥瘡を発生させないようサポートしています
症状の改善とともに、使用する薬剤や処置の方法も随時主治医と相談しながら変えています
少しでも早く褥瘡が良くなるよう精いっぱい介入させていただいています
寝たきりの方だけでなく、座りっぱなしも意識しなければなりません
身近にご高齢の方や、上記に当てはまる方がいる場合は、意識してみてください