褥瘡(床ずれ)という言葉を聞いたことはありますか?
褥瘡とは、皮膚の同じ部分へ持続的に圧が加わることで生じる皮膚の病気です
皮膚に栄養がいきわたらず、最終的に壊死し潰瘍が生じてしまいます
寝たきりの方に多く見られますが、認知症や麻痺の方にも起こりやすい病気です
好発部位は、あおむけの状態では、
・後頭部
・肩甲骨部
・脊柱部
・仙骨部
・踵部(かかと)
が挙げられます
横向きでは、
・耳介部(耳)
・肩関節部
・肘関節部
・腸骨部
・大転子部
・膝関節部
・外踝部
が挙げられます
座位では、
・座骨部
・尾骨部
・背部
・肘関節部
が挙げられます
主な発生原因は大きく分けて4つ考えられています
①皮膚への持続的な圧迫
長時間の同じ姿勢の保持や、寝具の重み、窮屈な衣服の着用など
②皮膚への摩擦やずれ
シーツや衣服のしわ、のりの効きすぎ、移動時の摩擦、ベッドをギャッジアップした際や座位をとったときのずりおちなど
③体の不潔や皮膚の湿潤状態
下着やおむつなどによる皮膚の蒸れ、発汗や排泄物による皮膚の汚れなど
④全身状態の低下
栄養不良、血行障害、運動・感覚障害、皮膚や筋肉の退化など
褥瘡のできやすい部位が赤くなっている場合、褥瘡の前触れの可能性があります
人差し指で、赤くなっている部位を軽く3秒ほど押してみてください
白っぽく変化し、離すと再び赤くなるものは、褥瘡ではありません
押しても赤みが消えず、そのままの状態になるものは褥瘡になっていると判断できます
褥瘡ができてしまった場合は、すぐに医療機関へ相談してください
早期発見・早期治療で重症化を防ぐことができます
日々の生活の中で、褥瘡を予防することができるため、いくつかご紹介していきます
体位交換・ポジショニング
好発部位を意識しながら、身体の同じ部位に長時間の圧が加わらないよう、2~3時間に1回からだの向きを変えましょう
もし赤くなっている部位があれば、さらに圧迫されないように注意しましょう
褥瘡予防用部の使用
エアマットやクッション、体圧分散用部を活用すると効果的です
衣服の選択
肌触りが良く、通気性や吸湿性に優れた素材を選択していきましょう
また、衣服やシーツにしわやたるみができている場合は、しっかり引き伸ばしましょう
衣服の縫い目は皮膚の直接当たらないようにするとよいです
摩擦・ずれを軽減させる
ベッド上で体を移動させる際は、滑りやすいスライディングシート等を活用しましょう
身体の清潔保持
排泄物が皮膚についた状態だと、刺激になってしまうため優しくふき取り、清潔を保ちましょう
なるべくオムツ交換の頻度を増やし、入浴や身体拭きなども取り入れて皮膚をきれいにしましょう
栄養バランスの整った食事
エネルギーやタンパク質はもちろん、ビタミンやミネラルなどの豊富な食材も大切です
適度に水分補給をし、しっかり食事をとって体を健康に保ちましょう
現在担当させていただいている利用者様にも、褥瘡処置を行っている方は何名かいらっしゃいます
今ある褥瘡が早く治るよう日々処置の内容を見直したり、悪化を防ぎ、他の部位の褥瘡を発生させないようサポートしています
症状の改善とともに、使用する薬剤や処置の方法も随時主治医と相談しながら変えています
少しでも早く褥瘡が良くなるよう精いっぱい介入させていただいています
寝たきりの方だけでなく、座りっぱなしも意識しなければなりません
身近にご高齢の方や、上記に当てはまる方がいる場合は、意識してみてください