呼吸器の病気 と言われると、何が思いつきますか?
以前紹介したコロナや肺炎、インフルエンザなども呼吸器の疾患の1つです
他にも、睡眠時無呼吸症候群や、気管支喘息、気胸やCOPDなどがあり、呼吸器疾患が原因で亡くなるケースも増えてきています
高齢になるにつれて、呼吸器疾患にかかる確率も増えていきます
今回は、呼吸器の疾患にかかった方へ、私たちがどのような看護をしているかをご紹介していきます
まず、観察を行います
看護師は、目と耳と手を使って観察し、アセスメントをしていきます
視診
口元に耳を近づけ、胸の動きを見たり、呼吸の音が聞こえるかなどを確認します
呼吸数・リズムを測定します
1分間静かに観察しますが、呼吸を測っていることを感じ取られないようにします
脈を測っているふりをして測ることもあります
こうすることで、自然な呼吸数・リズムを観察することができます
また、利用者様のお腹あたりに手を置いて、横隔膜の動きから呼吸の深さを調べることもできます
通常の呼吸では、横隔膜や、外肋間筋などの筋肉を用いて行われますが、さまざまな原因で換気量が増している場合や、呼吸筋疲労がみられる場合は、努力呼吸となっている場合があります
首や肩の筋肉まで使って呼吸してしまう努力呼吸は、余分なエネルギーを消費し、効率の悪い呼吸となってしまいます
このような状態の場合は、すぐに主治医へ連絡し、状況に応じて酸素療法を開始することもあります
看護師の目から観察し、状態を把握することで、ご本人様に今必要な看護を見極めることができるため、丁寧に観察をしていく必要があります
打診
指で胸壁を打つことで、音質の情報から疾患に結びつけることもできます
通常は清音であるはずの部位を叩いた時、濁音が生じた場合は、肺炎や無気肺、肺水腫といった疾患になっている可能性があります
鼓音が生じた場合は、気胸が疑われます
また、両手全体で明覚に経て、動きに左右差がないか、腫れや変形がないか、ごろごろするような振動がないかなども確認していきます
聴診
プライバシーに配慮しながら、聴診器を用いて胸の音を聞いていきます
大きめの呼吸をしていただくよう説明し、左右交互に聴診していきます
気管支の閉塞がある場合は、首元付近に聴診器を当てるとボーボー、ヒューヒューなどの異常音が聞こえることもあります
高齢の方で、呼吸器疾患を患っている方には、痰などの分泌物が自己にて排出できず、鼻や口、気道に貯留してしまうことが多くあります
こういった場合は、吸引器を用いて分泌物を除去していきます
肺炎などにより炎症が起きると、痰の産生量が増加してしまいます
そして痰が貯留し続けることで、窒息、無気肺やガス交換障害などの病気も併発し、さらに呼吸状態の悪化を招きます
吸引を行う際には、まずは自己排痰ができるかどうかを確認します
体をやさしく揺らしたりタッピングすることで、溜まっている痰を動かし、排出しやすくします
実際の吸引時は、1回10秒以内とし、十分に痰や分泌物などを除去できない場合は、呼吸状態に合わせて何度か吸引を行います
吸引時は苦痛を伴うこということを念頭に置き、無理なくケアしていきます
ケアの前後に、SPO2を測っておくと、痰がしっかり除去できたかを把握することができます
SPO2の正常値は95〜100%で、90%以下になると呼吸不全となり、生命の危険を及ぼします
このように、呼吸器の疾患がある場合は、観察をしたり、楽な体位が取れるよう体の向きを変えたり、吸引をしたりして、呼吸が安楽になるよう関わっていきます
症状に応じて主治医と密に連絡を取り、状態の悪化を防ぐことができるよう心がけています
在宅で過ごす時間が少しでも安楽なものとなるよう、1回1回の訪問をこれからも大切にしていきます